月曜日

たぶん、ずっと元恋人のことを信頼できていなかった。

信頼という基礎がなかったから、手料理やマッサージという慈しみの行動から愛を感じ取れなかった。

お互いが無理せず頑張れる範囲で思いやって、それでもたりなかったから別れた、と私は思っているけれど、信頼がない状態で愛する努力は方向性が合ってなくてどれだけ質が高くてもたりないと感じてしまっていたんだと思う。

告白された直後は、友人としての信頼があったこと、告白してくれたこと、どれだけ好きか毎晩会って話してくれたことで、信頼が高かったんだろう。

交際すると決まってから、他の友人のほうを優先されたり、会う頻度を下げたいと言われたりして信頼貯金が少しずつ減っていった。

信頼が下がることで不安になりやすくなって、不安だからこまめに連絡してほしいと頼んでも不定期でできたらするという感じで(つまりできない間は非倫理的なことをしているのでは?と)不安を煽られて、でも家庭環境が歪な私が標準的で大衆的な元恋人にまだまだ不安でたりないとは言いづらくて、また不安で信頼が下がるループ。

そういえば、物を貸すときにいろいろ言ったら「信頼されてないみたい」って言われて恋人を信頼してないのは悪いことなのかと知ったから信頼しているフリをいつのまにかしていたのかもしれない。

「恋人なんだから世界中を敵に回しても味方になるって、できなくても言ってよ」って言われた時、できなくても言うべきなのか、元恋人もそうしてくれるのか、と思ったけど元恋人は全然そういうことをしてくれなかった。世界中を敵に回してもいいなら、恋人がいるってことくらいは友人に言ってよ。からかわれるのが嫌、友人との縁が切れるかもしれない、そういうことなら私よりも自分、私との縁より友人との縁、ということだよね。

家族に関しては理解できなくはないから折れたけど、友人に関してはずっと私のほうを大事にしてくれているか分からないって言い続けてた。その度にちゃんと好きだよって言われてたけど、私も分かってなかったけど、必要な言葉も行動もそうじゃなかったんだ。

 

そもそも、他人を信頼したことがあるのか、と問われればない気がする。

信頼してアドバイスを受け入れてたわけじゃなくて、流されてアドバイスを受け入れてた。

集合場所、集合時間に会う約束を守ることを信じているのは信頼していると言えるんだろうか。行動に信頼があるだけの気がする。遅刻やドタキャンをよくする人は会う約束を守らないかもと思っても、同じ人でレポートはいつも正解だったらレポートの内容は信じる。

元恋人の存在を信頼できるというのは、元恋人のすべての行動が信頼できるということになる。

元恋人に物を貸したことはなかったんだから、初めて物を貸すときに信頼してなかったのは当然だね。

飲み会や旅行に行っても何もないから安心してほしいって言われても、何回かは完全に何もなかったことを知らないと安心できるわけがない。

そういうことに気付けなかった私も経験が浅かった。

最初から私が好きじゃなかったと知っていたら、不安じゃなくなるまでしてよって、好かれてないなら嫌われてもいいから頼みたかった。

好きじゃないと疑われるのが怖くて自分の身の回りのことが何もできてなかったのも、ちゃんとやりたかった。

もう遅いし、こんなに大変なんだから人間関係はやらないほうがいいな。

ひとりがいい。